「もしもし、元気?」
『……うん、元気。そっちは?』
「うん、元気だよ」
『そっか…』
「……ふふ、元気?なんて恋人同士の会話じゃないね」
『……』
「ねぇ」
『…ん?』
「お互い答え、出たね」
『……』
「もう、大丈夫そうだね。
1人になっても寂しくないね」
『……』
「2人とも相手がいない世界を完成させちゃった…
だから、2ヶ月も連絡を取らなくても寂しくなかった」
『…俺は寂しかったって言ったら?』
「なんで連絡してこなかったの?ってなるよね」
『……』
「連絡してこなかった時点でそれはもう寂しくなかったんだよ」
『……』
「私たちの最初覚えてる?
“幼馴染という関係が少し寂しいと思うなら恋人になろう”……だったよね。
きっともう私たちは幼馴染という関係でも寂しくない。
だからもういいよね…別れよう
お互いの為に潔く…ね?」
『……ごめんな、こんな大切な事言わせて』
「いつも考える時間をくれるのは貴方だから、考えた分結論まで私に言わせてよ」
『最初から最後まで優しい奴だったな…今までありがとう』
「貴方も知り合ってからずっと変わらない優しさをありがとう。そっちでも頑張ってね」
『…あぁ』
「…最後にさ、いいかな」
『ん?』
「恋人から幼馴染に戻っても大好きな事には変わらないよ」
『…その気持ちは俺もずっと変わらないよ。
時々実家に帰ったら窓から会いに行くよ…また幼馴染として』
「うん、待ってるよ…それじゃあね」
“幼馴染という関係に少し寂しいと感じるなら恋人になろう?”
あの日輝いた言葉は今は過去の輝きで、そんな事あったねと言って笑える話。
でもね、あの日から始まった関係があるからまた戻れる。
だから、またあの日貴方が言ってくれた気持ちにまた戻るとしたら今度は私が言いたい。
“幼馴染という関係が少し寂しいと感じるなら恋人になろう?”と。
きっとその言葉を言ったら幼馴染という関係は無くなり、今度はもっと特別な関係になるだろう。
それまでバイバイ、恋人よ。
【バイバイ】