言ってる通りで、私たちの他には誰もおらず、がらんとしている。私はなんて言ったらいいのか分からず、適当に相槌をうつ。

「ここはねぇ、無くなればいいと思われてるのよ……。そのほうがいいのかもしれないねぇ」

「そんなことねぇ!」

急に誓が声を荒らげた。私も、おばあちゃんも、きっと奥にいるハジメさんも、目を丸くした。誓はハッとして、肩を竦める。

「あら……?」

おばあちゃんは驚きつつも、言葉を口にする。

「いや、そのさ……。俺は、そこらにある洒落たレストランもこういう雰囲気の店も好きっつぅかさ……。なんていうか……、その。それぞれ、いいところがあるから……。だから、この店は無くさなくていいと思う」