「ねぇ誓?」

「んー?」

「どこ行くつもりなの?北なんて、いっぱいあるよ」

私たちは今、駅にいる。目の前には、駅の名前がずらりと並んだ路線図。目が痛くなりそうなほど、いっぱいだ。

「あー……、どこ行こうか。あ、あそこはどうだ?夕日が綺麗だっつーとこ」

「ああ、あるね、そんなとこ。どこの駅で降りたらいいんだろ?」

この辺りに住んでいる人はみんな知っている、と言っても過言じゃない。それほど、人気なところなのだ。海に沈んでゆく夕日、と聞いたことがある。それが綺麗だとか。でも、大まかに北、としか分からない。