「…分かりました」



にっこりと私は担任に笑いかける。すると担任はしてやってり、と分かりやすい輝いた笑顔を見せてくれた。


内申点。それは学内での成績。これから進学に大きく関わるもの。

今の私の成績では国公立も目指せるけれど、私はなんとしても指定校推薦を狙っていた。だって本番に弱いことがもう分かっているからだ。


真面目なばかりに試験ではいつも腹を下して自分の力を発揮できない。だからこんな地元の中間校にいる。



「(指定校推薦で早慶とかに行きたいから…!!)」



だからこのようなチャンスを逃すのはダメだ。


私は使用が少ないトイレに篭って、ポケットから携帯を取り出す。学内で堂々と携帯を使用するのは、私のポリシーに反する。


連絡先を開いて、ある日勝手に入れられた電話番号をタップする。そしてツーコール目で、



『えっ!!いーんちょーじゃん!どーしたの?』



電話越しでも分かるぐらい明るい声が飛んできた。