「相沢、橋本はまだか?」

「…私が知るはずもないです」

「頼むよ。橋本があそこまで懐いてるのはお前だけなんだよ。あいつをどうか卒業させてやってくれよ」

「…懐いているというかおもちゃなんですよ」



職員室。私の目の前にいるのは、げっそりとした顔をしている担任。きっと橋本くんのせいだろう、ご愁傷様としか言いようがない。


なんて思いながら「失礼しました」と担任の前から去ろうとすると、



「待て、相沢」



不意に呼び止められて。振り返ると、担任は意地悪そうな笑みを浮かべていた。



「"内申点"上げるけど、どうする?」



内申点。

私はこの言葉に弱い。


真面目、堅物、完全なる委員長キャラ。私がそうなったのは、内申点のせいでもある。確かに真面目なのは昔からだけど、内申点というものを意識しだすとそれに拍車がかかった。