うちの高校は、そこらへんにある公立高校。みんな普通に勉強をして、普通に部活に所属している。何の特徴もない、ただの高校だ。


しかしうちの高校には、1人、超ド級に有名な生徒が1人いる。


――――橋本 理玖。


ぱっちり二重のアーモンド型の目に潤んだ瞳という、チワワというよりポメラニアンを想像させるような双眼に、スラリと高い鷲鼻、常に楽しそうに弧を描いている唇。


誰もが羨む激甘フェイス。その顔にこげ茶のショートマッシュはかなり似合っていて。またブレザーといううちの学校の制服をお洒落に着こなすものだから、見た目からして目立つ。


しかし彼が有名なのはそれだけではない。


『かなりの自由人』。
先生までもが彼の自由奔放さに振り回され苦労している。


学校や授業に遅刻なんて当たり前。ましてや来ないなんてこともある。学校の決まり事なんて破りまくりで、決して守らない。先生には余裕でタメ口。『ダメ』と言われていることをやりたがるお子ちゃま。


見た目の甘さとは相反する、中身のルーズさが彼の有名な理由だ。