急に低く、色っぽくなった声音。
“いーんちょー”じゃなくて、“アンタ”。
耳にかかった、吐息。


私が目を剥いているうちに、橋本くんは私から離れる。そしてふわりと私の頭を撫でると、そのまま女子たちの方へ向かっていった。


体がぞわりとした。
これがどういう意味か分からない。けれど、きっと恐怖。


あのいつも笑顔で天真爛漫な橋本くんの、裏の顔。私はそれを見せられる度にこうやって体が震える。


あの男は異常だ。