「でもー愁は優しいよね!!」
「誰がそんな話してんだよ」
「あすみんも優しいし、みーーんな愛してるよ、俺は」
「なんちゅーチャラ男だ」
こいつはどこぞのホストだ、なんて私が呆れて前を向いたらいきなりずしっと重みを感じる。この重さに慣れてしまった自分が怖い。
「離れて、橋本くん」
「えー、なんで?」
「周りの女子の目が怖いから」
「いいじゃん、そんなの」
あんたがよくても私がよくないんだっつの。
そう思って明日美や林田くんに助けを求める視線を向けるけれど、彼らはこちのことはおかまいなく、2人で話していた。林田くんが唯一ちゃんと話す女子。それが明日美だ。
橋本くんは私の肩に体重を乗せたまま、ずるずると歩く。
「いーんちょーも優しいよね」
「それはどーも」
「だからこれからもずーっと困らせるよ」
「…は?」
「だからアンタのこと、離してやんないから」