「じゃあ今日はこのグループで実験を行いましょう」
「やった~~!!いーんちょーと一緒じゃん!!ねっいーんちょー!!!」
「……」
最悪である。
私は目の前でにこにこと笑っている犬のような男から視線を逸らした。そんな私の隣にはにやにやしている明日美。そして橋本くんの隣には、不愛想な林田くんが座っていた。
「今日は発熱反応と吸熱反応についての実験です」
「ねーねー、いーんちょー。今日さ、愁が焼きそばパンを買いに行ってさ」
「教科書の53ページですね」
「でさっ、愁のやつさあ、焼きそばパンだと思って買ったらさ、からあげパンでさー!」
「中々危ない実験ですので気を付けてください」
「めっちゃおもしろくない!?ねえ!いーんちょー聞いてる!?」
「……すみません、班を変えて欲しいです」
あまりにもうるさすぎて私は思わず手を挙げて、前で話す先生にそう言ってしまった。白衣を着ている男の先生は困ったようにこちらを見てくる。
他の女子たちは「じゃありっくんこっち来なよ~」とか次々に言い始めた。一気に騒がしくなる実験室内。