「よお橋本」
「お!あすみんおはよ!」
私の隣の橋本くんに挨拶したのは、髪の毛に全体的にパーマがかかっていて化粧が濃い女子生徒。金髪とまではいかないけど、明るめの髪の毛はこの学校では目立つ。
そんな友達、明日美は女子に囲まれている橋本くんに軽く挨拶して私の方を見た。
「お守りも大変だねえ」
「ほんとだよ!なんで私が…!」
「そんなのいーんちょーが俺のこと好きだからじゃん」
横から入って来る明るい声。
「好きじゃない!」と私が必死に否定すると、橋本くんはケタケタと楽しそうに笑った。
嫌いだ。私はこの男がほんっとーに、嫌だ。この男に目をつけられてから私には苦労ばかりがのしかかる。
完全無欠な真面目ちゃん。私の印象はそうなのに、この男に目をつけられて以来、『橋本理玖のおもちゃ』として私は学内で知られていた。