「だめ?」
「…いいわよ!!相沢さん!相手してあげなさい!!」
…まじかよ。橋本マジック。
しかし先生がその魔法にかかってしまうのも分かる。そのぐらい彼はあざとい顔をして、先生を上目遣いで見ていたのだから。
「だってさ、いーんちょー」
「……」
「で、なんで電話してきたの?」
「…だから迫田先生に言われたんだって」
「聞いたよそれはー!」
私としたことが…!!授業中に話してしまうなんて、なんという不覚…!!
頭を抱えている私の隣でベラベラ話している橋本くん。来たら来たでうるさいのが彼だ。
やっぱり帰ってほしい…!私は半泣きになりながら源氏物語が印刷されている教科書を見つめた。