「響先輩か~。まぁ、お似合いだわ」
昨日自分の気持ちを大切にしなさいって言ってくれた彼女はどこへ。
っていうか、勝手に小林先輩の気持ち決めないでよ。
もしかしたらそうかもって思ってしまった自分が恥ずかしくなるから。
「イケメンと一緒に帰れるのか~」
「愛子、彼氏いるじゃん」
「イケメンじゃないもん。顔は中の中」
「……」
「ま、性格が素敵なんだけどね」
地味に惚気てくる愛子の背中を叩いて、わたしは自分の席に戻った。
愛子はイケメンが好きって公言してるけど、彼氏を一途に思い続ける人。
あくまでイケメンは目の保養にしてるだけで、好きって感情は現れないらしい。
これは本人が言ってたものなんだけど、藤くんに彼女がいる疑惑がたった時の彼女の姿は恋する乙女そのまんまだった気がするけどね。