「なんか……、このままでもいいのかなって思ってるんだ」
「どういう意味よ」
「そのままの意味だよ。藤くんには彼女がいるなら、忘れないとダメでしょ?だったら、嫌われててもいいのかなと……」
話せなくなったなら、彼のことを忘れられるかもしれない。
「…そんなの奈帆が可哀想だよっ!好きな人に嫌われたままでいいなんて、そんなのダメ!」
自分のことのように悲しそうな顔をして、その目には薄っすらと涙が光っていた。
「柊真くんには確かに彼女がいるかもしれない。でもね、忘れなくてもいいよ。無理して忘れようとしなくてもいいんだよ?奈帆が奈帆の気持ちを大切にしてあげないで誰が大切にするの?」
愛子の言葉に泣きそうになった。