どうやって行ったかは覚えていない。

いつの間にか、道場の前に立っていた。

いつの間にか6時半を回り、剣道部は終わっている時間になっていた。


そっと中を覗くと、祐希だけ残っていた。


「美羽!」


私に気が付いた祐希は、驚いたように私のいる入り口まで駆けてきた。


「どうしたんだ?顔色悪いし…なんか、震えてる…」


心配そうに私の顔を覗き込む祐希の顔を見て、我慢していた涙が目から溢れた。


「美羽…」


祐希は少しためらいながら、私の頭にそっと手を乗せた。


「うっ…」


小さく嗚咽が漏れた。

後から後から涙は溢れる。


「我慢しなくていいよ」


祐希はそう言って、小さい頃してくれたように優しく抱きしめてくれた。

その優しさと懐かしさに、更に涙が溢れた。