「水野さんたちが事故にあった日に私が話してたやつ?」


「はい」


「んー…」


「私が鍵を返しに行ったときに出て行った男子です」


「んー…もしかして、藍原のことかな?」


「藍原?」


「そ。うちの部活の…書道部のやつなの。クラスは2-4で、藍原照伸(あいはらてるのり)っていうの。あいつがどうかした?」


「私、すれ違ったときよく聞こえなかったんですけど何か言われて…もしかして知り合いなのかな?と思ったので」


「そっかぁ。まぁあいつちょっと不思議なやつだしそんなに気にしなくていいと思うよ?」


「そうですか。ありがとうございます。あ、ホームルーム出なくてすみませんでした」


「いいよ、普段ちゃんとしてるんだし。3組の森山くんが倒れたんでしょ?」


「あ、はい」


「やっぱりそれかー。ま、両方気にしなくて大丈夫だよ」


「ありがとうございます。失礼しました」


職員室を出て、ほっと息をついた。


顔を上げると、目の前に祐希。


「2-4の藍原照伸。書道部らしい」


「俺の隣のクラスか…4組にはうちの部活のやついるし聞いてみるか…ありがとうな、美羽」


「全然いいよ。祐希に何かある方が嫌だし…」