「ここ、座ってて。」


そう連れて来られたのは保健室

私の嫌いな場所の一つだったりする



「でもっ、受験がっ…。」


そんな言葉に耳を傾けずにいる先生に

苛立ち始めるけど、


(我慢、我慢。)



「熱、計って?」


スッと渡された体温計を

脇に挟んで計ってみる。


「聖宮、優愛?」


突然呼ばれたフルネームに

私の心臓が煩くなりはじめる。



「っえ、はい?」


返事をしてみると

先生はホッとしたような顔で

微笑んだ



ピピピ ピピピ


(あ、計れた。まあ、無いだろうけど。)


「へっ、」


確認して、見える数字は


「「37.9」」


見事にハモった……。

じゃなくて!!!!!!!


「熱、高いじゃん。平熱は?」


体温計を私から取り上げ

覗き込み聞いてくる。


「ぅ、え、35.5くらいです。」


貧血や、色々な病気を持つ私にとって

その数字は一番嫌いだった。


「は、まじ?」


うん、この辺は今どきの人だね。


「は、ぃ…。」


(朝からしんどいとは思ってたけど
ここまで熱があるとは…。)


段々薄れる意識を

繋ぎ止めるのに必死な私


「えっ、大丈夫か?!少し横になって!」


慌てる先生はなんだか

可愛く見えたな…。


(も、むり…。)



______。



私は意識を手放した。