「それでは、始めてください。」

試験監督の先生の言葉で

受験会場の体育館には

テキストを捲る音が響く

私、聖宮 優愛(みちみや ゆい)は

今年受験生。

私は、ここみの里学園を希望した



(あれ、なんかすごい簡単?)


テキストに目を通すと割と簡単な

問題ばかりが並んでいた。

なんて、怒られるだろうけど(汗)


ふと、先生であろう人影を見つけた

私は、目が悪くて勉強の時とか

メガネ掛けているけど、

はっきりとは、見えなかった。


でも……。

(なんだろう、この感じ…。)



私は、不自然に鳴る心臓に戸惑った

きっとまだ緊張してるからだと

その胸の痛みに気づかなかった。


しばらく、その先生を見ていると


(ぇええ!?こっちくる!?)


寒い2月なのに爽やかさを感じる歩み


近づく距離になぜか息を呑む

なんでだろう、心臓が煩い。


(っ…あ。やばい、かっこいい…。)


顔がハッキリし始めるとその容姿は

少し流した艶のある前髪

小さな顔に通った鼻筋

切れ長の二重の瞳は他の人とは違う

そんな雰囲気を醸していた

整った唇は、私の胸を熱くさせた




そんなことを考えているうちに

すぐ近くまできていたらしい。



コンコン


と、机を指先で鳴らした先生は

少し抑えた声で


「体調でも悪い?」


眉を下げ、本当に心配しているかのような

そんな表情を浮かべる


「っへ?あっ、いや、だ、いじょうぶですっ。」


急に近くにくるからビックリで


(何、何、なんでこんなに熱いの…?)


体が熱くなっていくのを感じる。


「けど、顔…。熱っぽいし、赤い。」


そう言いながら、私の受験番号と名前を

確認した先生は


「ちょっと待ってて。」


そう残して後ろへと歩いて行った。


(っー!!!なにっ、なんだろ。
なんで、こんなに苦しいの…?)


まだ知らないこの感情に惑わされる

そんな自分に苛立った。