「じゃぁついでに、あたしも教えて下さい」

斜め後ろから唐突に声が聞こえて来たので、あたしは少したじろいでしまった。
声の主はすぐに分かった。
さっき二階から一緒に降りてきた、皐さん。
歳もあたしと3つしか違わない、同じ大学の先輩だ。

「え?」

永井さんも驚いているようだ。

しかし、皐さんはそんな私達をよそに、携帯をサッと右手に構えてこう言った。

「赤外線ってあります?」

右側に少しだけ首をかしげてパカッと携帯を開く彼女は本当にマイペースだ。
そういえば前にB型って言ってたっけ。
血液型占いなんか信じちゃいないけど、ふとそんなことが思い出された。

「あ、あぁ、あるよ」

慌てて携帯を持ち上げたから、手の中で携帯が暴れ、永井さんはさらに慌てておかしな動きをした。

落ちる!

そう思って急いで手を伸ばしたが、携帯は何とか彼の手の中に収まった。

「セーーーーフ!!!昨日買い換えたばっかりなのに落とすとこだったわ!」

目をパッと見開いたまま、大げさに額をぬぐうパフォーマンスをして見せる彼を見て思わず笑いそうになったが、なんとかこらえた。

「ビックリしたぁ!気をつけてくださいね。」