「はー……」

永井さんが深いため息をついた。
その日あたしは終わりかけのレポートを仕上げてしまおうとちょっとだけパソコンを借りていた。

もう一人のナイトさんは見回りに行っていていない。
あたしと同じ部所の人も、レポート頑張ってね、と言い残して早々と帰宅した。
フロントバックには永井さんとあたし二人だけだ。

「どうかしたんですか？」

あたしはタイプする手をちょっとだけ止めてずいっと身を乗り出して言った。

と同時に顔を覆って俯く永井さんの姿が目に入る。

「ど、どうしたんですか！？」

今までそんな姿みたことなかったからあたしはちょっと驚いた。
あたしが知ってる永井さんはいつも笑っていて、明るくて、気さくで……。

びっくりして思わずかけよると絶妙のタイミングでもう一人のナイトさんが帰ってきた。

どうやら見回りが終わったようだ。

「あ、お疲れ様です！」

顔をあげて微笑んで見せた彼はいつもの永井さんに他ならなかった。

立ち尽くす私を見て不思議そうにしているナイトさんの視線が少しだけ気になった。