「じゃー決まり。今度の日曜あけておいて」

「えぇっ!あ、で、でも…わたし、滑り方分からないし…」


その前にスノボなんて、一度もやった事ない。

だからそんなわたしと一緒に滑りに行っても、瀬戸くんはきっと楽しめないと思う。


初心者のわたしなんかより

滑るのが上手な人と一緒に行った方がずっと――


「なに遠慮してんの? だから誘ってんじゃん」

「……えっ?」


とっさにそう言いかけようとしたその時

直前で瀬戸くんが口をはさんだ。


そのまま平然と返されてしまった言葉にわたしはポカンと立ち尽くす。


「? え、えっと…」

「まだ分からない?俺の言いたいこと」


意味が呑みこめなくて、ますます混乱状態のわたしに

目の前の瀬戸くんが近づいてくる。


そして今もまだ戸惑いを隠せないわたしに手を伸ばしたかと思うと

横髪をソッとかき上げながら、耳元に向かってこう囁いた。



「俺が優しく指導してやるよ。水泳のときみたいに、ね」