「はぁ……」


いったい、わたしは何回目くらいため息を落としたんだろう。

そんなわたしの視線の先に映るのは……屋上のプール。


向かいの校舎の五階から、もう何十分も見つめてる。


しばらくそのままボンヤリしていると

また溜め息がこぼれてしまった。



……この季節になると、学校のプールは決まって使用禁止になり

生徒はもちろん、水泳部の人たちさえ立ち入ることが出来なくなってしまう。


誰一人として訪れてくれる事のない、そんなひとりぼっちのプールは

冷たい冬風に吹かれるたび、どこか寂しそうに波を揺らしているように思えて……。


ふと胸の奥が苦しくなった。