「メリークリスマス」

「……」


あまりにも突然の出来事で真っ赤になって固まるわたしに
瀬戸くんが目を細めて笑う。


そして、もう一度触れるように唇が重なったかと思うと

瀬戸くんが甘くささやいた。


「好きだよ。“知鶴”」

「~~~」


わたしも。

わたしも瀬戸くんのことが好き。大好き。

なのにわたしは、こんな時でさえ素直にこの想いを言葉に返すことが出来なくて。

いつもわたしばかりが、瀬戸くんにたくさんのドキドキをもらっている。


そんなわたしに出来ることは、何だろう?

こんなわたしにでも、瀬戸くんをドキドキさせてあげられることは何があるだろう?


そんなことを思いながら

わたしはせめて今
精一杯、瀬戸くんのキスを受けとろうと、目を閉じる。




…瀬戸くん。

本当はいつからわたしを、好きになってくれていたんですか?

―どうして、どうしてこんなわたしのこと、好きになってくれたのですか?

もし、もしも…

もしもその時が来たら


いつか、聞いてみよう…。




―END.