もうわかっただろう、私の幼馴染こと朝倉御幸はとんでもないヤリチン野郎だ。
毎回毎回見るごとに違う女の子をとっかえひっかえ部屋に連れ込んでは情事に及ぶ万年発情期。あいつを息子もろとも滅ぼしてください、というのが私のここ最近の願い事だ。
しかしこんなクソみたいなチャラ男でも、頭は毎回学年5位以内に食い込むくらいには良いし、バレンタインは家に持って帰れないくらいのチョコを抱えてくるし。神様、なんか理不尽じゃないか??なんであいつなわけ?
「まあ、俺は神に愛されてるからな〜。お前とは違って☆」
「マジ土に還れ」
怒り心頭でそう返すも「怒んなよブス〜」と馬鹿にした笑顔で一蹴された。わかった、お前私と喧嘩したいんだな?いいよ?買っちゃうよ?
まあまあ落ち着け、ここで怒ってどうする……と、冷静な私が私を宥めてくれなかったら、どんな関節技がこいつに決まっていたか分からないほどだ。ああ、朝からよくこうも苛立たせてくれる。
大きなため息にも取れるだろう深呼吸をして心を落ち着けてから、私は手渡された目覚まし時計を受け取った。
しかし、私が毎朝ちゃんとこいつの顔面に目覚まし時計を投げられるのも、この投げられた張本人がこうして律儀に返しに来てくれるからだ。こういうところは素直に偉いと思う。
まあ、まず朝からあんなの見せられなければ投げる必要も無いんだけどね……
とりあえずよかった、これで今日も安心して眠れる。
「てか、彼女のとこ行かなくていいわけ?」
「え?」
「いやだって、今もお前の部屋にいるんでしょ?早く戻ってやれよ。」
おいおい、昨日一緒に寝た女置いて他の女のとこに来てるとか、マジで人間のクズじゃん。ダメじゃん。嫉妬で私がどうにかされたらどうしてくれんだマジで。
そう伝えると、何故だかビミョーな顔………あ、嫌な予感がする……
「いやだって……あいつ彼女じゃないし」
「はぁ!?」
こ、このクソ野郎は〜〜!!
いや、なんとな〜く予想はついてたけどさ?え?なに?彼女でもないやつとおせっせか!?おせっせすんのか!?
やっぱりとんでもねえヤリチンだ〜!おっかねえ〜!!
今のうちで一族滅亡させておかないと全国各地の女の子たちが危ないと判断した私は、固く固く拳を握った。標的は、奴の股間及び息子だ。
すまんね息子くん。未来ある君のこれからを奪うことについては十分考慮したつもりだ。しかし、それでも私は我慢ならないんだ……!
拳を振り上げた、その時。
「今日は……お前と、行く、から」
消え入りそうな声で、あんまりにも真っ赤になって言われたから。
「……What?」
母国語以外が口から出ちゃうのは、必然だと思うの。