「……そう、ありがとう」

 北斗は、面を食らったかのような顔をして、それ以上はなにも言わない。

 いくら想いあっていたとしても、気持ちは言葉で伝えなくちゃダメなんだ。

 いくら恋人のようなことをしていても、言葉で確かめ合わなくちゃダメなんだ。

「あのね、ぼく彼女がいるんだよね」

「へ!?」

 予想だにしない展開に、あたしは戸惑う。

「彼女いたんですか!?」

「うん」

 だって、そんな素振り、ちっとも見せなかったじゃない!!と、腹の底から叫びたい。

「い、いつ頃から付き合ってるんですか……?」

「2年くらい前かな」

「……そうだったんですね。まさか彼女さんがいるなんて思わなかったもので……」