北斗の運転する車は、あたしの家へと向かっていた。

 今日も優しい北斗は、あたしを家まで送り届けてくれている。

 あたしは、赤信号で車が停車するたびに、タイミングを探った。

 けれど、結局は意志薄弱で、なかなか実行することができなかった。

 とうとう車は、あたしの住むマンションの下に着いて、あたしはもう「今しかない」と自分に言い聞かせるのだった。

「あ、今日も送ってもらっちゃって、どうもありがとうございます!」

「いえいえ、おつかれさま~」

 北斗は、あたしの方を見ると、不思議そうな顔をした。

「降りないの?」

「お、降ります!降りるんですけど、その前にお話したいことがあって……」

 緊張のせいで、唾液がまったく分泌されない。

「あの……」

「あの?」

 あたしの顔をのぞき込む北斗に、あたしは意を決して言った。

「あたし、北斗さんのことが好きです!!」