私はきっと、潜在的に忘れようとしていたのかもしれない。
傷つくことを恐れ、最後の最後まで、問題を後回しにしようとしていた。
そんな私を、琥珀ちゃんは強引に現実へ引き戻した。
「希望ちゃんの大切な話ってこれだったんだね」
「あ、違……」
このまま終わらせてはいけない。
そう思うのに、勇気が、あと一歩が足りない。
「その様子だと、この話をしたのは私が初めて? なんか嬉しいな、そういうの」
「こ、琥珀ちゃん!」
勢いに任せて立ち上がった私を琥珀ちゃんは不思議そうに見つめている。
「びっくりした……なに?」
「私ね、琥珀ちゃんにどうしても言わなくちゃいけないことがあるの」
「え、廈織くんが好きって話じゃなくて?」
「うん、それよりもっと大切な話。あのね、私、私ね……ずっと琥珀ちゃんに言えなかったんだけどね」
言葉が核心に迫るにつれ、言いようのない吐き気と頭痛が体を襲う。
「悠希の特別だったあなたがうらやましくて、酷い嫌がらせをしていたの」
「え?」