ザァ…ッと風が吹いた。そこには生まれたての匂いがあった。
パラパラとめくれる茶色く変色したページ。
あたしの髪が、視界を掠め取るように真横になびく。
何かが変わる気がした。それは根拠のない確信で、はっきりした予感だった。
この時あたしは、まだ知らなかった。
これから起ころうとすることも、
今までに起こったことも…何一つ。
この一冊の台本との出会いが、
あたしにとって一生忘れられないものになるということを。
『桜の園』
平成9年6月
櫻華学園高等学校演劇部創立記念公演
【脚本・演出 坂野佳代】
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