ああそっか、と美登里は照れたように眉を下げて笑った。

彼女の頭のてっぺんから吸い込まれた光は、丸く象られた髪をツヤツヤと光らせている。


「ごめんごめん!だってね、最初見た時から思ってたんだ!!」

「何を?」

「結城さんと仲良くなりたいなぁって」



サァ…ッと風が吹いた。


花びらのピンクが、空気に溶け込む。

それらは空の青さの中に滲んで、あたしの瞳の奥に鮮やかに焼き付く。


「あ、結城さん!頭に花びらついてる!!」


伸びてきた美登里の指が、あたしの額に触れる。
絡め取られるピンクの花びら。

目を丸くするあたしに、美登里は悪戯っぽく目を細め、へへっと笑った。


「ねぇ、桃って呼んでもいい?」



空は色を変えた。

それは青だとか白だとかそんな原色じゃない、何色もをパレットでごちゃ混ぜにしたもの。


もう二度と同じものを作ることができない、そんな色だ。



あたしの新しい人生の幕開けは、幕開けと呼ぶにはあまりにもパッとしないものだった。


それでもその一瞬。


希望が見えた気がした。あたしが今居る世界も、悪くないのかもしれないと思った。


似合わない、と嫌悪していた白いリボンが、眩しいほどに輝いて見えたんだ。











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