大事だからチェックしておけ、と言われたところに緑のマーカーで線を引いた。
真っ白い教科書の上で、そこだけがひどく浮いていて不恰好だ。

シャーペンなんか久しぶりにこんなに使った。力加減がいまいちわからなくて、何度も芯が折れる。


(…ねっむ……)


胸元にぶら下がる制服のリボンが重い。それどころか、シャツも、スカートも、ローファーも…全部。


早速やって来た眠気は、あたしの瞼をどんどん重くしていった。



─これがあたしの新しい人生の幕開けなのだとしたら、ずいぶんパッとしないものだったな。



陥りゆく夢の中で、そんなことを思った。






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