だけど心のどこかでは求めてた。
心の安らぎ、自分が心から落ち着ける場所。
そんな時。
「心音ちゃん。キミに出逢ったんだよ」
最初は守りたい、安心させてあげたい。
ただそれだけだった。
だけど心音ちゃんの笑顔に俺は不覚にも恋に堕ちてしまったんだ。
無意識に心音ちゃんを求めてしまったんだ。
この子なら俺の寂しさを埋めてくれるかもしれないって…本気でそう思ったんだ。
一緒にいればいるほど
同じ時間を過ごせば過ごすほど
それは確信へと変わっていった。
「だからね、心音ちゃん。俺にとってキミは心の拠り所なんだ。勝手でごめん。押し付けてごめん…」
だから俺は。
キミが思ってるほど優秀でもないし、
強くも優しくもないんだよ。
それでもキミが。
心音ちゃんだけが好きなんだ。
この気持ちに嘘偽りなんて一つもない。
頑張ってきた勉強だって、俺のただの逃げ場所に過ぎないんだよ…。
「…先輩。1つだけ聞いていいですか?」
「うん?」
「あたしが今日、迷子になった時。どうしてあんなに早くあたしを見つけ出せたんですか?あんなに人がいたのにどうして…。先輩のおかげであたしは泣かずに済んだんです…」
そんなこと、簡単だ。
「俺は初めからキミしか見えてないよ」
「え?」