「俺、心音の気持ち何も考えてやれなくて。すぐに謝ろうと思ったんだ。けど…心音はもう俺の事なんて全く見てくれなくて。それどころか他のヤツとも話さなくなってた。謝れないままだった……」



ずっと、後悔してたんだって分かった。



「……あたしも…ごめん…。聞く耳、もたなくて。一輝くんがわざとバラしたんじゃないって、本当は分かってた。……だけど、どうしても許せなくて。怖くて。一輝くんからも、他の男子からも逃げてた」



「いや、そうさせちまったのは俺だから…。心音は謝ることなんてねーよ。…高校に入学すると会う機会なんて全くなくて。1度お前の高校に行ったんだ。そしたらお前は転校したって…もういないって言われてさ。平に頼るしかなかった」



一輝くん……。


天之宮まで来たんだ……。



「平を通じて藍田にあった時言われたよ。…お前のせいで心音は変わったって。男子を見て怯えるようになったって。責められて当然だと思った。俺は…心音に会うのが怖くなった。拒絶されたらどうしよう。怯えてたらどうしようって」



あたしのために、怒ってくれたんだね。


叶愛ちゃんには感謝してもしきれない。


ありがとう……。



「──────それでも。このままは嫌だった。ちゃんと謝りたかった。けど心音が会ってくれる確証なんて何もなかった。だから…会ってもいいって言ってるって言われた時は、驚いたよ」



「…あたしね、前の学校でも男の子とはどうしても向き合えなかったんだ。でも…桜河に転校してから、男子と関わらなくちゃいけない状況になって正直戸惑った。またあの時みたいになったらどうしようって、すごく不安だった」



あの頃を思い出すと、何だか懐かしいな…。


玲弥がいなかったらどうなってたんだろう。