「悪ぃ。遅れた!」



夢望ちゃんと話に夢中になっていると、時間はだいぶ経過してたみたいで。


息を切らした一輝くんがやって来た。


背も伸びて、声も低くなって、更に格好よくなって…。


成長はしてたけど、すぐに分かった。



「それじゃ、私は帰るね。…心音、しっかりね」



「うん……ありがとう」



夢望ちゃんは一輝くんを一瞥して、すぐにカフェを出ていった。


残されたあたしと一輝くんは暫く沈黙。



「……久しぶり…」



そんな沈黙を破ったのは一輝くんだった。



「…うん……」



「すみません、カフェオレ1つ」



一輝くんは注文をするとすぐにあたしの方に向き直った。



「…俺コーヒー飲めねぇんだ。だっせーだろ」



「……ううん。そんな事ない…」



「心音は…変わんねぇな。あの時のまま、純粋なまま」



そのまま一輝くんは頭を下げた。



「……俺、最低なことした。本当にごめん!心音を傷つけるつもりなんてなかったんだ。ただ…あの時は心音を守れた事が嬉しくて、皆に自慢したくて。俺、心音が好きだったから…」



信じられなかった。


まさか…一輝くんもあたしの事を好きだと思ってくれたなんて。