【優空side】





──────コツコツ



外から聞こえる誰かの足音。


だけどそれが誰のものかなんて見なくても分かる。


俺は布団から出るとすぐに部屋を出た。


扉を開けると見えた、いつもより小さな背中。


その後ろを追いかけ、俺はそいつの腕を掴んだ。


一瞬身体をビクッとさせ、振り返るそいつ。



「こんな時間に…どうかしたんですか?優空くん」



心音は無理やり笑顔を浮かべてそう言った。



「そーやって…無理に笑ったりすんなよ……!辛いなら辛いって誰かを頼れよっ」



「優空くん…。何かあったんですか?」



それでもなお、隠そうとする心音を見ていられなくて思わず俺は目の前の今にも消えそうな小さなこいつを抱き寄せた。



「何かあったのはお前だろ?そうやって隠そうとすんなよ!それとも俺じゃ、頼りにならねぇ?」



「そういうわけじゃないんです…!でも……。ここでは何ですし、とりあえず…あたしの部屋に行きませんか?」



心音を解放して、俺たちは心音の部屋に向かった。














部屋に入り、向かい合って座る俺たち。


言いづらいのか、言いたくないのか、それでも心音は一向に話そうとしなかった。


本当は聞くべきではないのかもしれねー。


けど…聞かなくて後悔するよりはずっといい。


そう思い俺は、口を開いた。