だけど家に戻るとそこには別の表札があって。


それでも諦めずに探してたら、あのコンビニであたしの姿を見かけたと。




────『大きくなってて驚いたけど…すぐに心音だって分かったよ』




お父さんは笑ってそういった。


それからは暇を見つけてはあのコンビニの前で、あたしにまた会えることを信じて待っていたらしい。














冷たい夜風に当たりながら、頭を巡るたくさんの事。


お父さんが出ていった理由は分かった。


お父さんに……全く非はなかった。


だけどあたしたちには───────




もう新しい“お父さん”がいる。





分かってる。


誠二朗さんはとってもいい人。


だけどやっぱり、あたしのお父さんは1人だけで…。


あたしの頭の中はぐちゃぐちゃだった。


ふと時計を見ると丁度12時をまわったところで。


桜河の寮を見上げたあたしは素早くエレベーターに乗り込んだ。