何でだろう、おかしいな…。
あたし、発言するのは苦手なはずなのに。
そう思っても1度思いを口にすると、止まらなくて。
「何で今更そんな事言うの?それならどうして出ていったりしたの?お父さんのせいで、お母さんがどれだけ苦しんだか分かる?…ううん、お母さんだけじゃない。本当はあたしや裕くんだって──────」
「心音。そのへんにしておきなさい」
お母さんに止められるまで、あたしはお父さんに怒りをぶつけ続けた。
「お母さん…。どうして……?」
「お母さんたちをかばってくれたこと、嬉しいわ。でもね、もういいの。大丈夫だから…お父さんの話を聞きましょう?」
「でも!お父さんは他の女の人と…………」
「──────それは違う。お前たち以上に大切な人なんて、今までも…これからもいない」
それまで黙ってあたしたちのやりとりを見ていたお父さんは静かに、だけどはっきりとそう言ったんだ。
違うってどういうこと───────?
「俺は…お前たちに。隠していたことがあったんだ」
その次に出てきたお父さんの言葉は、あまりにも衝撃的で。
あたしも
裕くんも
お母さんも。
すぐには理解出来なかった。
いや、したくなかったのかもしれない。
あたしたちは、ただただお父さんの話を聞くことしか出来なかった。