【心音side】
「ただいま…」
「えっ心音?!今日帰るって言ってたっけ?どうした…───────」
「結美(ユミ)……」
あの後。
───────………
『俺の話を聞いて欲しいんだ────』
『あたしは…、聞きたいことなんて何もない…っ!だから、帰って!帰ってよ…!』
『心音…』
どうして?何で?
お父さんにはあたしたちより大事な人がいるんじゃないの?
なのにどうして…………
『辛かったよな…。俺のせいだ。一緒にいてやれなくてごめん………』
昔と変わらないその優しい声で、切なそうな表情でそう言うの…?
『…お父さん……っ。何で?どうして…?謝るくらいなら最初からあんな事しないでよ…!』
『あぁ…そうだよな…。全部話すから…お母さんと裕汰にも会わせてくれないか?』
『お母さんは、もう……』
『分かってる、それでもいいんだ。俺は…お前たちに話さないといけない事がある』
───────………
あんなに必死なお父さんは見たことがなくて。
あたしはお父さんと一緒に家に帰った。
「あなた……。───────上がって」