「湊叶がそんな事言うなんて珍しいな」
「楓に同意。でも…確かにそうだね。湊叶の言う通りかもしれない。言うなら今しかないと思う」
「うん…歩結の言う通りかも」
別に、皆の気持ちを疑ってたわけじゃない。
でも………皆本気なんだ。
─────本気で心音が好きなんだ。
「それじゃあ俺、心音をここに呼んできます。……奏夢もそれでいいんだよな?」
「あぁ…いいぜ」
全員の意志が揃ったところで、俺は心音を呼びに行くため部屋を出た。
あれから1時間。
部屋には行ったけど…
────心音は部屋には戻っていなかった。
何してんだよ、あいつ…。
すぐ帰るって言ったじゃねーか。
あの後。
心音が部屋にいなかったことを伝え、明日に仕切り直すことにしたけど…。
おかしいよな、心音が何も言わずに寮をあけるなんて。
もしかしたら……………
─────『いえ…!何でもありません』
─────『…すみません。少し用事を思い出したので先に帰っててもらっていいですか?』
思い当たる場面があるのは確かで。
ちゃんと聞いとけばよかった、なんて思ってももう遅い。
頼むから………
早く帰ってこいよ、心音───────