だから───────



「覚悟は、出来てます。殴るなり罵倒するなりして下さい」



「…優空。顔上げろ」



奏夢のその言葉に、俺は腹を括って頭をあげた。


けど…いつまでたっても考えていた衝撃はこなくて。


おそるおそる目を開いた。


そこには呆れたように、でも優しく微笑む皆の姿が映った。



「俺はさ、何となくそうなるかもって思ってた」



「2人で出かけて何もないわけねぇもんな」



「うん、しょうがないと思うよ。それにさ…昨日聞いた時から分かってたよ?俺」



そして、罵倒どころか全てわかってたとでも言うような歩結さん、奏夢、翔斗さんの3人。



「でも!それじゃあどうして昨日────」



「優空が約束したあいつとの予定を止める権利なんて俺らにはねーからだよ」



湊叶………。



「そう言うこと。俺さ、あの日“誰が心音ちゃんと上手くいっても恨みっこはなし”とは言ったけど“抜けがけ禁止”とは言ってないからね。だって…それを含めて“勝負”でしょ?違う?」



確かに、歩結さんの言う通りかもしれない。


でも昨日は…………



「…昨日はたぶん、お前が柊と遊びに行くって聞いて羨ましくなったから、ああ言っただけだ」



楓さんにそう言われ、皆を見ると図星だったのか俺から視線を外した。


……何だ、そうだったんだ。



「───けど。優空の気持ちがもうあいつにバレたんなら…俺らも気持ち、伝えときませんか?」