《駿side》


美麗ちゃんは、俺の運命を変えたんだ。


君が、俺の全てーー。


安藤を一喝した後、美麗ちゃんを追っていた俺。


きっと、彼女は屋上にいる。


《あの時》もそうだったから。


「美麗ちゃん!!」


階段を登りながら思わず叫ぶ。


ガラッ


勢いよくドアを開ける。


あぁ…やっぱり。


「あ〜いた……。」


「前川、君…」


突然の登場に驚いたのか、美麗ちゃんは呆然と俺を見つめる。


「あーマジ走ってくんの疲れた。美麗ちゃん、大丈夫か?」


言ってすぐに恥ずかしくなってきた。


随分カッコつけた事言っちまった。


それに…「前川君」、か。


駿って密かに呼んで欲しかったと思う自分がいる。


美麗ちゃんのことが好きというわけではない。


なのになぜこんな事を思うのだろう。


彼女が俺の運命を変えたから?


「…ご、めん」


……え?