いつもならイケメンに食いつくのに…
何かが変だ。
「梨花?」
心配になり声を掛けるとー
「あ…何?あっそれよりちょーイケメンだね!」
ハッと我に返ったように騒ぎ始めた。
気のせい…?まぁ、そんな大した事ないのかな。
「席は空いてるところ座れ〜」
向井先生の言葉で私はなんとなく周りを見渡し空きの席を探す。
梨花の事でモヤモヤするけど、今は気にしないようにしよう。
げっ………
空席は簡単に見つかった。
私の隣ーー。
最悪……
あのイケメンの隣で席替えまで過ごすとなると考えるだけで頭が痛くなりそう。
彼はドサっと鞄を置き席に着いた。
「よろしく!えっと〜」
そして隣にいる私に声をかけた。
「若草美麗(わかくさみれい)。」
嫌々名前を教える。嫌な予感…。
「良い名前!改めてよろしくな!美麗ちゃん☆」
「はぁ……」
か、軽い!軽すぎる!!
初対面で名前呼ぶとかありえない!
まさに嫌な予感的中!!
カンベンしてよ……。
これっきりにして、と願いながら授業を受けた。
「ーーーーーーた……」
何か彼が呟いた。
でも私には聞き取れなかった。
この言葉がどんな事を意味していたか。
私には知る由もなかったーー。