嫌いな物を、好きになるように。
前川君に対しての気持ちも、変わるのだろうかーーー。
「美麗!!」
はっと、鈴の音のような声が後ろから聞こえたので我に返る。
振り返ると、走って来たのか息を切らせている梨花の姿が映った。
階段を登ってくる音さえ聞こえなかったから、少なからず驚いた。
「梨花?どうしたの…?」
そう声に出したその瞬間。
ぎゅっと圧迫された感覚があった。
「美麗、大丈夫!?安藤さんの事、気にしちゃ…ダメだよ?」
梨花は私に抱きつきながらそう言った。
じんわりと心があったまっていく。
だけど、何故だろう。
前川君が庇ってくれた時とはまた違う機がする。
これは、一体何なのだろう。
どちらも嬉しい事には変わりないのだけれど……。
「梨花、大丈夫だって。私…気にしてないから」
そう言うと梨花はゆっくりと私から離れ
「良かったぁ」
満面の笑みをプレゼントしてくれた。