《美麗side》


私は呆然と前川君が居なくなった屋上に佇んでいた。


「なん…で?」


思わず声に出す。


初対面なのに安藤さんから庇ってくれた前川君。


梨花以外に優しくされたのは久しぶり…いや、初めてかもしれない。


友達がいない訳ではないけど、心から信用して話せるのなんて梨花ぐらいだったから。


前川君が庇ってくれたあの時。


イケメンなんて嫌い。


そう思っていた自分の心が揺らいだのは確かだった。


自分でもこの気持ちの正体がわからず、ただぐるぐると考え続ける。


屋上の手すりに手をかけ


空を見上げる。


そこには壮大な青空が視界いっぱいに。


私は空が好き。


どこまでも澄み渡る青空だったり、
底知れない哀しさを物語ってるかのような灰色の空だったり。


ころころ変わる空が、私は大好き。


気持ちも、こんな風にころころ変わるのだろうか…?