「……なぁ?」
「ん?」
「それ、似合ってんじゃん」
「え?」
「秀からの、ハッピーバースデー」
わたしの耳につくピアスに目を向け、良ちゃんはにやりと微笑む。
そう言われて、ピアスのつく耳たぶにそっと触れてみた。
「……だって、秀がくれたんだもん。当たり前でしょ?」
そう言うと、良ちゃんは優しい笑みを浮かべてわたしに笑いかけた。
「お前には、ちょっともったいないんじゃない?」
「はぁ? 何それ」
「な~んてな? ほらっ、帰るぞ」
「あっ、こらっ! ちょっと!」
真っ赤な夕日が砂浜を駆けていくわたしたちを染め上げていた。
温かく、背中を押してくれてるみたいだった。