「……不思議なんだよね」
「不思議?」
「うん。秀はもう、そばにいないけど……何か…どっかにいそうな気がするんだよね。
見えるとにはいないけど……どっか。この世界のさ」
「……それは、俺も思ってる」
「会えないけど……どっかにいるって」
「俺はさっ……アイツはもういなくなったなんて、思ってないから」
「……え?」
「秀は……俺らの中で消えてないから。だから、生きてんだよ」
生きてる……。
良ちゃんの言いたいことは、訊き返さなくてもはっきりとわかった。
わたしたちはその会話を最後に、果てしない海の先をいつまでも眺めていた。