アワキくんと
バスで挨拶を交わすようになってから

一ヶ月


期末考査も終わって、
午前中で学校が終わる日が続く頃

「帰ろ~ お腹空いた~」

終礼が終わるなり、お腹を抑えてヨロヨロよってくる凛。

私は鞄の中から包を出して
凛の目の前に掲げた。

「…お弁当? えっ、文、今日委員会だっけ」
「そうだよ。昨日言ったじゃん。
『明日当番だから一緒に帰れないよ』って」
「絶対言ってないわ…」
「『家帰んの遅くなるじゃんお疲れ様~』
って笑ってたの凛ですけど」
「あ~…、それは言った気がするわ。
そうかそうか。じゃあ頑張ってね」

普段しっかりしてるのに…と、
ほんの少し呆れながら、
私はリュックを背負って教室を出る。


ひとつ下の階に降りて、
事前に預かっていた図書室の鍵でドアを開ける。

『学校に残って仕事するなんて、
図書委員は面倒だね』

なんてよく言われるし、
私も図書委員になるまではそう思っていた。
けど、今ではこの仕事が好きだ。

図書室は一番 光が入ってくる。

本の匂い。

静かな空間。

どれも好きになってしまっていた。


まず最初にすることは、窓を開けて換気。
それから___


「…ん?」

窓を開け終えて、振り向いた時
私の目に一冊のノートが映った。

「忘れ物…?」