──────今日は中学校の入学式。
窓の外には 桜の並木が見えるがどれもまだ蕾のままだった。


李「ねぇ、ママ!早く早く!!」

時間にはまだ余裕があったが、さすがに中学校生活初日に遅刻はしたくなかったのですこし早めに出発の準備をしていた。

母「はいはい!もうすこしでお化粧終わるから外で待ってて!」

そう言われ、私は玄関の扉を開け、外に出た。
外はまだ肌寒く、冷たい風が私の頬に触れる。ついこの前まで曇りばかりだったのに今日はよく晴れている。

身支度を終えた母が家の中から出てきた。
李「もうママ!遅いよー!遅刻しちゃう!!」

母「はいはい。今行こうね〜 。」





────────家から学校までは意外と近く、5分程度で到着した。

母「じゃあ、ここでいいね。保護者は体育館で先生達のお話聞くことになってるみたいだからママはそっちに行ってくるね。迷子になっちゃだめだからね。」

李「はぁーい…」

(今日から私も中学生かぁ…。友達できるかなぁ…。)
と、そんなことを考えていると、女の子が話しかけてきた。

?「あ!李美ちゃんおはよー!!ねねっ昇降口の扉にクラス表貼ってあるんだって!一緒に行こー!」

それは幼稚園からの親友の如月萌乃だった。彼女とは家も近所で、母親同士もとても仲の良い大切な存在だ。

李「おぉ、萌乃ちゃん!おはよう!
そうなの!?行く行くー!」

いつものように明るく返事をし、萌乃ちゃんと2人でまだ見慣れない昇降口へと走った。

新入生とその親達で混雑時していた昇降口に貼り出されたクラス表から自分の名前を探していると、私より先に自分の名前を見つけたようだった萌乃ちゃんがふと口を開いた。

萌「あー、李美ちゃんと萌乃、クラス離れちゃった……残念…。」

自分と一緒のクラスになれることを楽しみにしてくれていたのか、彼女はがっくりと肩を落して落ち込んでいた。
私は思わずくすっと笑って、

李「大丈夫だって(笑)離れたって言っても隣のクラスだし、休み時間にいくらでも会えるよ〜。」

萌「そうだけど…。」

李「もー!気にしない気にしない!!これから入学式なんだから悲しい顔しちゃだめだよ!!」

萌「…うん、そうだね。もう大丈夫!」

萌乃ちゃんに再び笑顔が戻っていくのが分かり、私もほっと胸を落とした。

李「じゃー、3階まで一緒に行こ!!」
萌「うん!!」


────あっという間に3階に着き、萌乃ちゃんとは一旦、さよならをした。