僕は、蜘蛛。
夏に生き、普通にそこらへんに巣をはって、巣にひっかかったごはんを食べる、蜘蛛。
あるとき、僕はひとりのニンゲンの女の子とであったんだ
いろんなことにチャレンジする、元気いっぱいで好奇心旺盛で、でも人一倍繊細な女の子
虫が嫌いなくせして、教室に虫が居たら真っ先に外へ逃がすような、優しい子
僕も外に逃がされてしまった虫なんだけどさ、外へ出したときその子は僕に言ったんだ
『ごめんね、追い出しちゃって』
僕は感激感動、もうとんでもないくらい。
疎まれる存在の僕に、まさか謝罪するなんて!
ココロにあたたかいものがふんわりと陣取った
それから僕は、カミサマにお願いして、ニンゲンの身体を貰った
彼女に会いたい、ただそれだけ
心優しいカミサマは、代償はいらないと言ってくれた
僕は早速彼女が居るという病院へ行った
でも、蜘蛛がニンゲンになった、だから僕には腕と足と目が多かった
ひとまず空いている病室で腕と足を切り落とした
痛かった。
六本目を切り、それが床に落ちた瞬間、誰かが入ってきた
それが誰かなんて、僕はもうわかっていた
本当は近寄って話がしたいけれど、僕はまだ目の数がニンゲンよりも多いし、血まみれ。
だから、話しかけた
「きちゃ、だめ。」