「なぁ、妹尾」


「はい?」


「今度の休みー…」


[……ガチャ…高橋先生、高橋先生。至急、職員室までお戻りください。繰り返します……]


「「……」」

突然の呼び出し放送。

それは、それは、いつものことでー…


「ったく、何だよ!また何かやったのか?」

「急ぎましょう。私も職員室に戻りますから」

二人で立ち上がった。


「…何だよ、妹尾。真面目だな」

「高橋先生を待ってる生徒はたくさんいるんですからね」

速足で、職員室へと向かう。


「たくさんいたら困るわ…俺、一気に老ける」

「ふふ。それだけ先生たちにも、生徒たちに頼りにされてるってことですよ」

「…あんま、嬉しくねぇ」

「そんなこと言わないでください。高橋先生は私の目標なんですから」

「妹尾は俺を買い被りすぎだよ、何年経っても」

「いえ……改めて、今日思いました。私も、もっと頑張らないと!」

ガッツポーズで気合いを入れる。


「…頑張るのはいいけどさ…恋人のことも忘れんなよ?」

ボソッと耳元で、先生が言った。

「あ…」

「じゃあ、俺先に行くわ」

思わず立ち止まってしまうと、先生はダッシュで職員室へと行ってしまった。


その背中は、やっぱ大きい。