「あー…高橋先生」

お父さんが咳払いをしながら言った。

「はい」

先生は私に向けていた視線を、目の前にいるお父さんに向けた。


「…あー…えー…」

なかなか言葉が出ないお父さん。

「お父さん、しっかりしてください」

に、お母さんが小さな声で言った。






「えー…泰葉をー…娘をよろしくお願いします」



そう言いながら、お父さんは頭を下げた。


「高橋先生、これからもよろしくお願いしますね」


お母さんも続いて頭を下げた。



ドクン。


お父さん…お母さん。


両親が二人揃って頭を下げているところなど見たことない。


「…必ず幸せにします。お許し頂き、ありがとうございます」


先生は畳みに手をつき、頭を下げた。