「…泰葉がこうやって強く自己主張するのは、大学受験以来ね」
黙って聞いていたお母さんが、ふふふっと笑いながら言った。
「あの時も、今みたいな意志が強い目をしてたわね。そうだったわよね?お父さん」
「あぁ…」
「小さい頃から自己主張をするような娘じゃなくて、親や周りの人達の言うことばかり聞いているような娘だったから、大きくなった時にどうなるかと心配していた部分もあったけど…」
「…そうだな」
「高校に入学して高橋先生と出会って変わったのね」
「…」
お母さんー…
「…だが、生徒に手を出すような男なんか俺は信用できん」
「!」
お父さんー…
「…そのことについては、反論できません。仰る通りです。ですがー…」
先生は姿勢を正した。
「こんなに誰かに惹かれたのは初めてで、それが生徒でした。ただ失いたくない。そのためには何度でも、結婚を認めて頂くためにご挨拶に伺います。殴られる覚悟もあります」
先生ー…
「どうか今日はその誠意だけても、受け取って頂けたらと思います」
「先生…」
お父さんとお母さんはー…?